うつ病とは
うつ病とは「何もする気になれない」「ものがなしい」「今まで楽しかったことが楽しくない」など、気分がしんどくなった状 態のことをいいます。
自分自身では、うつ病かどうかが判断がしにくく、家族や同僚に指摘をされる場合も少なくありません。
うつ病は頻度の高い精神疾患であり、100人に5人の割合で生涯罹患する可能性があるといわれています。
うつ病の症状
①抑うつ気分
うつ病の中心的な症状が抑うつ気分です。「気分が落ち込む」「なんとなくものがなしい」「すべてがむなしい」「涙があふれてくる」。このような訴えで表出されるような症状となります。
「重苦しい気分」「うっとうしい感じ」と表現される場合もあります。
うつ状態がひどくなると何事にも感情が反応せず、喜怒哀楽を失ったような感覚に陥る場合もあります。
②意欲の低下
意欲の低下は「何もする気がおきない。」「なにもかもが億劫だ。」というふうな訴えにより表出されます。
何かをしようと思っても、行動にうつすことができなくなってしまい、休日は昼頃までお布団から出られずに、ゴロゴロと寝て過ごす時間が増えていきます。
③食欲の低下、または過食
「何も食べたくない。食べる気がしない。」「何を食べても美味しく感じない。」など、うつ病では食欲の低下がみられます。
反対に暴飲暴食に走ってしまうケースもあります。
④興 味・喜びの消失
「何をしても楽しくない。」「人と話をするのがめんどくさい。」など、今まで取り組んでいた趣味や、友人との外出などの関心や欲求が低下していきます。周囲の人からすれば、性格が変わってしまったと思われることもしばしばあります。
⑤集中力の低下・判断力の低下
「会話がなかなか頭にはいってこない。」「考えがまとまらない。」「頭が真っ白になった感じで考えがうかばない。」など、うつ状態になると頭の回転が鈍くなり、考える発想や着想も乏しくなりがちです。
また理解力、判断力、集中力が低下し、業務の作業能率が悪くなります。
⑥不眠、睡眠の質の低下
うつ状態になると、常に脳が緊張状態を呈し、リラックス状態をむかえることが難しくなってきます。このため寝つきがわるくなり、入眠した後も眠りの質が悪いために夜中に何度も目が覚めるといったことが起こります。
翌日は睡眠不足のために、日中あたまがぼーっとしたり、疲れているのに入眠できないことから疲労がどんどん蓄積していきます。
寝付きの悪い入眠障害、眠りがあさく夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒、朝はやく目が覚めてしまいそこから再び入眠できない等の早朝覚醒など、さまざまな睡眠障害が出現してきます。特徴としてはREM睡眠潜時の短縮と徐波睡眠の減少や夢をみることが多いなどがあげられます。これとは逆に過眠を訴える患者さまもおられます。うつ病では睡眠の状態が正常から逸脱してしまうようです。睡眠障害はうつ病発症の最初のサインともいわれています。
⑦自責の念に駆られる
うつ状態になると、頭の中が悲観的になり、自らを過小評価したり、自分の業務内容にたいする劣等感、無力感を感じる場合もあります。
自分のことばかりを責め、過去のことを悔みつづけるような場合もあります。「自分のせいで仕事のプロジェクトがうまくいかなかった。」「あんなことをしたせいで職場の人間に迷惑をかけた。」と考えるようになっていってしまいます。
⑧うつ状態の身体化症状
うつ病はこころの症状だけではなく、さまざまな身体の症状が出現する場合があります。身体症状は自律神経の乱れからくる自律神経失調症状がメインとなります。
自律神経失調症状として多種多様な症状が出現します。胸の苦しさ、呼吸がしにくい、胸部圧迫感、胸痛、動悸、息切れ、呼吸困難感、めまい、耳鳴り、顔のほてり、のぼせ、頭痛、肩こり、頭重感、背部痛、腰痛、喉頭違和感、飲み込みにくさ、舌の痛み、しびれ、異常な発汗、排尿障害、手足の熱感、冷感、眼精疲労、身体の重さ、全身倦怠感、勃起障害、射精障害、月経異常など、ありとあらゆる症状が可能性として考えられます。うつ病の中核症状である気分や意欲の症状はあまり目立たず、身体症状が前景となるケースもあります。
内科や耳鼻科、婦人科、整形外科などを受診し、各種の検査を実施しても症状の原因がはっきりせず心療内科に紹介されて受診につながるケースも多々あります。
うつ病の治療法
うつ病の克服において、もっとも大切なことは充分な休養です。充分な睡眠をとり、脳と身体に休息を与えてあげることが何よりも重要です。
会社員の方、主婦の方もゆっくりした休息が必要です。普段勤務をされている方はなかなか休職することは難しいかもしれませんが、無理をして仕事を続けますと、ますます症状は悪化し、回復への時間がかかってしまう場合もあります。主婦の方も家事をはなれ、ゆっくりした時間を過ごすことが必要なこともあります。
次に大切なのが抗うつ薬による薬物療法です。うつ病の原因の一つと考えられていることに、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)の低下が挙げられます。抗うつ薬は脳内で低下した神経伝達物質を増やす働きをもっています。抗うつ薬は即効性がないため、毎日服用することにより、徐々に脳内神経伝達物質を増加させていきます。
抗うつ薬は多種多様であり、症状によって使い分けが必要であるため、専門医による注意深い診察と判断が必要です。その方にあった適切な治療薬の選択を、医師とよく相談し、服薬を継続することが大切です。
うつ病の休職診断書について
うつ病治療において最も大切なことは早期発見、早期治療です。そして何よりも休養が大切です。普段勤務をされている方はなかなか休職をいいだすことが難しいかもしれませんが、無理をして仕事を続けますと、ますます症状は悪化し、回復への時間がかかってしまう場合もあります。
ご自身のため、また家族のために、ゆっくり休養を取ることを考えてみてください。天王寺ほしぞら心のクリニックでは症状にあわせた休職診断書を即日作成、即日発行することが可能です。無理をして頑張るよりも、立ち止まってゆっくりと休息をとりましょう。
